WordPressにプラグインを追加するメリットとデメリット
こんにちは、タスクスクエアの齊藤です。
WordPressについて調べてみると、色々と便利な拡張機能を紹介している記事がありますね。中には「プラグインを追加するだけ!」という、HTMLやPHPの知識が無くても手軽に拡張できそうな方法も数多く紹介されています。
プラグインって、便利そうですよね。
でも、ちょっと待ってくださいね。
そんなに便利な機能なら、ホームページ制作会社が納品時に「積極的にプラグインを使ってくださいね」と案内しても良さそうなものですよね。
実際のところ、Webの知識のある制作会社であれば当社に限らず、お客様が自主的にプラグインを使用することを推奨していない会社が多いのではないでしょうか。
何故なら、追加したプラグインが原因となってホームページが閲覧できなくなる危険性や、セキュリティが致命的なレベルで脆弱になる危険性があるからです。
- そもそも、プラグインって何だろう?
- プラグインでどんなことができるの?
- プラグインを追加するリスクって?
今回の記事が、ご自身で色々とプラグインを導入される前の参考になれば幸いです。
プラグインって何のこと?
一言でいうと、WordPressの拡張機能のひとつです。
WordPress本体は至ってシンプルなブログ機能しか持っていませんので、WordPress単体ではコーポレートサイト等を制作できません。そこで、各種の拡張機能を使用して編集できる機能を増やす、いわゆるカスタマイズを行うのです。
機能を拡張する方法として、主に以下の3種類があります。
- テーマ
ホームページの基盤となるルールを設定・変更できます。 - プラグイン
様々な機能を追加できます(次項に記載します)。 - その他の独自カスタマイズ
PHPやCSSなどを記述して、システムのルールや見た目を細かく調整します。
テーマとプラグインを組み合わせることでホームページを作るための機能を増やし、デザインに応じたフォントを設定したり、ブロックエディタに便利なブロックを追加したり、より自由度の高いホームページを作れるようになるのですね。
プラグインを導入するメリット
例えば、次のような機能を実装できます。
- メールフォームを作成・設置する(「お問い合わせ」など)
- ブロックエディタのブロックを追加する(スライド画像など)
- SEO対策を強化する
- メディアライブラリの画像を整理する
- 複雑な条件からブログ記事(商品)を検索させる
- 会員登録・ログイン機能を追加する
- 外部サービスと連携する(Instagram表示など)
他にも挙げると色々と切りがありませんが、上記のように「単なるブログ」には無い機能を追加するのがプラグインの役割です。
導入するほどにWordPressでできることが増えるわけですから、これだけでも、とても便利な機能であることがわかりますね。
プラグインを導入するデメリット
主なデメリットは、以下の4点です。
- プラグインの数が増えると、ホームページの読み込みが遅くなる
- プラグインの数が増えるほど、不具合が発生するリスクが高くなる
- セキュリティホール(セキュリティの脆弱性)が生まれるリスクが高くなる
- 責任分界点が不明瞭になりやすいため、万が一に大きな問題が発生した際に、誰も解決に導けないことがある
1.から3.について紹介している記事は時々見かけますが、一番怖いのが、4.の可能性が常に付きまとっていることです。
これは、ホームページを作るのに必要なテーマとプラグインのそれぞれが、全て異なる製作者によって作られているために発生している現象です(次項に記載します)。
当社に限らず、この記事をお読みになっている方で、もしホームページ制作会社と保守契約を結んでいる場合は、ご自身でプラグインの追加をされる前に、必ず制作会社に相談されることを強くお勧め致します。
そもそも「絶対大丈夫」といえる保証が無い
前述のとおり、WordPressでホームページを作るためにはテーマとプラグインの導入が欠かせません。そして、このテーマとプラグインについては、世界中の様々な方が作成しており、その組み合わせには途方も無い数のパターンが存在します。
少し脱線しますが、ご参考までにテーマとプラグインの数について記述しますね。
この記事を書いている2023年6月7日時点で、WordPress内に公開されているテーマの数だけでも10,874件は確認できます。実際には、WordPress内には公開されていない有償テーマなども多数存在しますので、実際に存在しているテーマの数までは具体的に把握できません。
日本で最もよく使われている有名なテーマだけでも、少なくとも16件は存在します。
16件のリストはこちら
- AFFINGER(アフィンガー)
- Cocoon(コクーン)
- DIVER(ダイバー)
- JIN:R(ジン アール)
- Lightning(ライトニング)
- LIQUID CORPORATE(リキッド コーポレート)
- Luxeritas(ルクセリタス)
- Sango(サンゴ)
- Snow Monkey(スノー モンキー)
- STORK19(ストーク19)
- SWELL(スウェル)
- Sydney(シドニー)
- TCDシリーズ(ティーシーディー)
- THE THOR(ザ トール)
- Xeory Extension(セオリー エクステンション)
- 賢威(ケンイ)
テーマ名の昇順に掲載。
2023年6月7日時点で「WordPress テーマ 有名」で検索した上位10件の記事で紹介されているリストのうち、3件以上の記事で紹介されているテーマのみ抜粋しています。
同様に、プラグインの数も具体的にはわかりませんが、現時点でWordPress内に公開されており、且つ「人気」フィルターで検索できるプラグインが少なくとも55,601件は存在するようです。
日本で最も有名なテーマと、可能性のあるプラグインの組み合わせだけでも途方も無いパターン数が存在しますね。
そして、このそれぞれが互いに別々の製作者の管理下にあるため、(仕方ないことではありますが)充分な連携のなされないまま、それぞれで仕様の変更等が発生します。その際に製作者のテストした環境で正常に動作したとしても、全ての組み合わせで正常に動作するかは保証できません。
そのため、例えば、プラグインを導入してから数ヶ月経過後に不具合が発生した場合など、原因の特定の難しい不具合が発生した場合に、WordPress側のバージョンアップが原因なのか、あるいはテーマやプラグインの組み合わせの問題であるのか、はっきりしないことがままあります。
この場合、WordPressの担当者・テーマの製作者・各種プラグインの製作者のそれぞれに問い合わせた結果、それぞれの担当者から「当方の環境では再現しないため、当製品の不具合ではない」と回答されてしまう、という現象に陥ります。
不具合の内容によっては、原因と考えられるプラグインを無効化しても元に戻らないこともありますので、不具合が発生してからホームページ制作会社やシステム会社に修正を依頼した場合は、原因の調査と不具合の修正に工数がかかること、また最悪の場合はホームページの再構築も視野に入れる必要性があることから、高額な修理費を請求される可能性もあります。
ホームページ制作会社と保守契約を結んでいる場合、ご自身でプラグインを追加するのも一つの独自カスタマイズと見なされて、保守対象外となる場合がほとんどですので、くれぐれもお気を付け下さいね。
リスクを理解した上でプラグインを活用しよう
プラグインを紹介する記事の多くが、フリーランスでホームページを制作している方によって執筆されたものです。Webに関する充分な知識を持っている上に、万が一の問題が生じた際は、必然的に全ての責任を一人で抱えて対処する必要がありますので、責任分界点のリスクについて記事になることはほとんどありません。
メリットのあるものの裏には、必ず何かしらのデメリットが存在します。メリットが大きいものほど、デメリットのリスクも高くなるものです。
万が一のことが起きてから「しまった!」と思わないように、日頃からデメリットにもアンテナを張っておく必要があるのかも知れませんね。そして、くれぐれも「デメリットはありません」と書いている記事を鵜呑みにしないように、ご注意くださいね。